とう・もろ・こし
今年から働き始めて、やはり新入社員として大事なのは「ほう・れん・そう」と言われる。
腐るほど聞かされる。呪詛かと思う。
しかし「報告・連絡・相談」というのが仕事を進めるうえで何よりも重要なのはわかっている。頭では分かっている。
それでも、言い返せないほど正しい正論ほど耳には正しく聞こえてこないものだ。
でもあと半年後には新入社員が入ってきて、(雑用を押し付け)、一から色んなことを教えなければならない。
その仕事内容の前に教えなければならないのが、やはりその「ほう・れん・そう」なんだろうと思う。
この「ほう・れん・そう」の何がイヤかって、言葉をひとまとめにしている割に今ではそんなに上手いと思えず、野菜にまとめている割にはすでに新鮮さが失われていてシナシナなことだ。
それでいて人から「仕事に大事なのは『ほう・れん・そう』なんだよ」なんて言われると、重要なのは分かるけどもそのフレーズの聴こえ方が気に食わないので頭に入ってこない。
何回も言われると、耳からそのホウレンソウ掻き出したくなる。
そんなことを言いつつ、来年から入ってくる、内定辞退しなければ入ってくる、後輩には訳知り顔で「いいか、仕事に大事なのは『ほう・れん・そう』なんだぞ」なんて言わなければならない。
いやだ。
もう違う野菜使いたい。
「いいかい、仕事に大事なのはブ・ロッコ・リー、だ」とかささやきたい。
「アス・パラ・ガス これ何の略だかわかるか?」
「だから言っただろ、あれだけ とう・もろ・こし には気を付けろって」
ちなみに全く意味は込めていない。
こんなこと言い続けていたら、きっと野菜先輩とかあだ名つけられるんだろうな。
そこまで、野菜、好きじゃないんだけどな。
未だに生のトマトは食えんのに。
〆