HAPPY BURST DAY
誕生日を祝われた。
これ、単純だけど、すごくうれしいもんなんだな。
おめでとうのLINEだったり、Facebookのメッセージだったり、お菓子やプレゼントだったり。
言葉の威力はこうかばつぐんだ。
Facebookで人の誕生日を祝うのは誰が誰を祝ったかで面倒くさいなと思って。
先輩でさえお祝いをするのをやめようと思ってた。
それに一人ひとり「頑張って」祝ってる人というのを斜めに見ていたこともあった。
ということで覚えているごく少ない人たちに祝われればいいやと思っていたのだけども、
まぁでも祝ってもらってみると意外と嬉しいもので、
わざとらしい言葉ではなく普通におめでとうっていう分にはいいもんなんだなぁと思った。
できる限り祝おうと思う。
しかしもうすぐ30歳が近づく。
げに恐ろしき。げに。
数値を出してみてより現実性が増してしまった。
誕生日、今までろくな想い出がない気がする。
誕生日は夏休みだから小学校の時はクラスメイトから祝われるなんてことはなく、
むしろスポ少のサッカーの大会が毎年その日と重なって負けたりする日だった。
高校の時、はじめて同級生から大っぴらに祝われて、
購買で買ったプリンとか大量にもらって、おいおい食いきれねえよーなんてことがあって、
あのとき本当に泣きそうになるくらいうれしかったなぁ。
おめでとー!って祝われるなんてこと今までなかったからなぁ。
視野が70㎝の高さから100㎝も伸びるにつれて、見えてくる人もものも多くなる。
あー自分は誰かの人生の脇役なのかなぁなんて思うことがある。
でも誕生日は、誰かから祝われて、自分がほんのたまに主役になれる瞬間だ。
夢がある。
ささやかなもので、どうしても叶えたいものではなく、実現したら恥ずかしいくらいだ。
それは誰しもが主役になれる瞬間で、
夢に思っているかはわからないが実現している人はプロと呼ばれる領域では多々いる。
サッカーしているときに実況されてみたい。
サッカー漫画でよくあるやつなんだよ。
たとえ主人公たちの高校が弱小高校で、なぜか組まれた強豪校との練習試合だとしても、サッカー漫画では実況は現れるんだ。
それは天の声となって描かれているコマの一部を「ボールが○○くんにわたったぁ~!」などと埋めて、
場を盛り立ててくれる。地方の練習試合でも、だ。
更にはなぜかそこに視察に来ている他の高校のやつが「いや違う、あれは・・・!」と漫画の中では誰に向けているのか分からない解説を読者にくれたりする。
たとえ脇役としても、ものすごく熱い実況が自分の1つのプレーを読者に分かりやすいように説明してくれる。
一体誰なのかは未だに分からないが。
現実で「!!」がつくほど自分のこと言ってくれることなんてなかなかないよ。
やっぱりね、人は主役になりたいんだよ。
2週間前の土曜日、フットサルがあった。
個人参加フットサルという、フットサルしたい人が集まって大体知らない人同士でチーム組んでやるものだ。
久々のフットサルでもあったし、ワクワクしていた。
プレーをしてみると、最初は動きづらかった身体が徐々にほぐれて動けるようになっていき、
相手のやりたいプレーが見えて、それに合わせるようなパスが出せるなんていう、とても調子のよい日だった。
もうね、一人実況気分だよ。
「いやー今のパスは見事でしたね」「そうですね、最近調子を上げてきています。」みたいにね。脳内の松木さんが嬉しそうに話しているんだよ。
「ここでシュートを放ったぁー!これが入った!」「今のは一歩目の動き出しが良かったですね」
「おっと相手選手から激しいプレッシャーだ!」
こんなん
とても調子のよい日。
それは、たまに、きけんな日。
「ぷちっ」
「あ」
松葉杖、はじめました。
主役になれるのは、一瞬だけなんだよ。油断はしちゃいけないよ。
ほんと。
そう、フットサルの途中ではっきりと自分の中から実況が聞こえた。
「おっと~!?ここで無念のリタイア~!」
〆
全治1か月。はよくっついておくれ。靭帯。