枕が恋しい日々

より視覚と簡潔さが求められる時代に適応できずにいるテキストブログ

ご注文を、させてください。

お題「思い出の味」

秋田で高校の時に仲が良かった友達の結婚式があった。

天気ははじめはしとしと降る雨。

ありがたいことに仙台から友達の車に乗っけてもらうことになった。

秋田までは高速道路を使って3~4時間程度。

 

 

乗っけてもらった友達はプラスチック成形を仕事にしているので、

話の半分以上はプラスチック成形の話になった。

まったくどうかと思う。4時間くらいのドライブなのに。まったく。プラスチックの話ばっか振ってたの俺だけど。

途中、雨降りすぎてワイパーが追いつかないくらいになり、

高速道路なのに前の車すら見えない状況で死ぬかと思ったが、

少ししたら晴れて無事に秋田駅に着いた。

 

 

 

秋田駅は意外と綺麗。というかとてもきれい。

blog.goo.ne.jp

秋田駅のリニューアル後が載っていたブログ

時間までは結構あるので、送迎バスの近くの喫茶店を探す。

 

 

喫茶店をめぐるのが趣味なので、よくgoogle mapで「カフェ」「喫茶店」などと調べて気になった店に★を付けている。

今回もGooglemap様に頼り切り、探してみると、近くに1つだけ見つけた。

レビューはついていない。怪しい。だからこそ行こう。

明らかに廃ビルみたいな階段を昇ると、

ポッと明かりのついた静かで洋食屋も兼ねていそうな喫茶店の店構えが出てきて安心した。

まさに隠れ家のよう。きっと常連さんしか来ないのだろう。

まぁいい感じじゃん、と二人で入ってみる。

店主らしきおばちゃんは、見たことがない客が来たことに驚いた様子だった。

大丈夫かな?という不安も一瞬よぎった。

 

 

不安は3秒で消え去った。

「お、サイフォンじゃん」

思わずつぶやいてしまった。

 

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サイフォンのイメージ

 

コーヒーを淹れるサイフォンセットが置いてあったので、

なるほどここは本格的なお店に違いないと。間違いないと。

知ったかぶりでも、サイフォンでコーヒーを淹れるところはおいしいところが多い。

このおばちゃん、実はこだわってたんだな、大丈夫かなんて偉そうなこと思ってしまった。

食事ですか? 飲み物ですか? と聞かれたので、飲み物です、とだけ答えて席に着いた。

ふーやれやれ、外は歩くと暑いもんだなーと二人で話をする。

 

 

 

水が来る。

 

 

 

 

話をする。

 

 

 

 

 

 

 

話をする。

 

 

 

 

 

 

 

メニューがこない。

 

 

 

 

 

 

 

まさかね。と思った。

 

店主のおばちゃん、水を出してくれたあと、

コーヒーメーカーにカップをセットしてたから。

サイフォンは使われなかった。

二人分のコーヒーが容赦なく出てきた。

お待ちどうさま、と。

おばちゃんはカウンターに戻った。

そして、店主のおばちゃんはもう1つカップを用意し、

自分の分のコーヒーを、淹れた。

まぁめげてはいけない。

この時点で何かがおかしいと思いつつ、コーヒーを口に含む。うん、適度なコク、苦味、いい感じだ。ローソンの方が断然うまい。

 

 

 

結婚式場行きのバスを待っているだけだったので、

何時にここ出ようかと話してたら、おやつを出してくれた。

揚げてある竹輪状のお菓子が丁寧に、一口サイズに切られて皿に盛られていた。

秋田はきりたんぽで有名だ。

コメを潰して、練って筒状にしたもので、鍋によく使われる。

郷土料理としても有名で、地鶏からとったスープと合わせると最高である。

 

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「秋田だからきりたんぽ揚げたやつかな?」

なるほど、さすが俺の友達は勘が鋭い。

メニューも来ないままコーヒーが出るとは驚いたけれども、

名物をちょっとしたお菓子にするなんて粋だなぁ

なんて思いながら、2人で食べてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うまい棒コンポタ味だこれ。

 

 

 

もう笑いが止まらなかった。

サイフォンあるじゃんって本格的なコーヒーだと思ったら

市販のコーヒーメーカーのポットからコーヒー出てくるし

そもそもメニューがこないし

お菓子がきたと思ったらコンポタ味のお菓子が切られたものだった。なぜ切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と友人は、店を出た。

会計は700円。

きっと、そこにはおばちゃん分のコーヒー代も入っているのかもしれない。

ごちそうさま、と店を出た。

また来るよ、いつになるか分からないけれど。

今度はメニューを見せてほしい。

他に何があるのか、すごく気になる。

そして次こそ、注文をさせてほしい。

 

 

結婚式はとてもよかったけれど、二次会のあとで新婦さんに衝撃的なことを言われ、

昔を思い出した。

それについてはまた次に。