枕が恋しい日々

より視覚と簡潔さが求められる時代に適応できずにいるテキストブログ

角取り

お題「もう一度行きたい場所」

 

「こんな感じの髪型でお願いします」

画像を見せて。

サイドはこんな感じで。ああ刈り上げても大丈夫です。どうせ伸びますしね。

 

 

 

 

 

 

美容院での会話というのが苦手なので、雑誌を読みふける。

 

顔を上げる。

 

 

角刈りの自分がいた。

 

 

 

 

スポーツ刈りとかね、角刈りは難しいとか聞くけど、

確かに角ばっていた。

ソフトモヒカンにしたかっただけなんです。

サイドを短くしたかっただけだったんです。

これが制作途中だと思ったら、申し訳ない程度に真ん中の髪を立たせて終わった。

 

「ど、どうですかね・・・?」

なんて自信なさげに鏡を見せられたら、

大丈夫、君のやり方は間違ってないよ

なんて顔をして、表面的な笑顔で「大丈夫です」と満足気にうなずいた。

 

 

 

泣く泣く風呂で角刈りみたいな頭を、せめてごまかそうと角を削った。

こうやって人は丸くなっていくのかもしれない。

もう一度行きたかった場所、美容院。