枕が恋しい日々

より視覚と簡潔さが求められる時代に適応できずにいるテキストブログ

コーヒー飲みに行ったのにプラスチックの剣ばっか見てる人

今週のお題「好きなお店」

 

久しぶりに外出をする。

在宅勤務が始まってから約3か月。

生まれて初めてパーマをかけて、

ようし少しは変わったところ見せてやろうじゃないのと思ったら、

翌日からの在宅勤務である。

誰に見せるわけでもないパーマ。

上なのか果たしてお前は下なのか、

出自のわからぬちり毛だけ、床に増えてゆく日々である。

 

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コーヒーの大学院

横浜のクラシカルなコーヒーとサンドイッチやビーフカリーを出すお店に来てみた。

コーヒーの大学院

https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140104/14002242/

話半分に聞くこともあるweb会議で、

少ししかない集中力と襲い来る眠気を抑えるためにガブガブとコーヒーは飲んでいるのだけれど、

やっぱりお店ごとに違う味っつーの? そのお店の特別ブレンド的な? 

ものを雰囲気だけ感じたくなり、

にがい・うまい・うーん、にがい」くらいしか持っていないコーヒーへの風味評価能力をひっさげて、

わざわざにやってきたのだった。

 

 

席を案内され、店内は自然なソーシャルディスタンスを取るには十分な込み具合だったので、広い席に1人座った。

最初にアルコールの説明をされる。

「ちょっと口が大きいから出すぎちゃうかもしれませんが。」

そうですね、とおそらくR-1ヨーグルトの容器のようなボトルに入ったアルコールを見てそれだけ答えた。

 

 

 

特製のビーフカレーや、アメリカンクラブハウスサンド、ケーキセットなどという、

古くからの喫茶店によくあるメニューが揃っていて非常に自分好みである。

俺の精神がジジイなので、こういった時代には追いついてはいかないよと暗に示しているようなお店で心が落ち着くのかもしれない。俺の精神がただ足遅いだけかもしれないが。

 

 

コーヒーも豆の品種から選べる。

お店もサイフォンで淹れているようなので、コーヒーの味に間違いはないのだろう。

ここは秋田で友人と行った見せかけのサイフォンのお店ではないのだ。

 

 

 

モカ・マタリやジャバ・ロブスターってどんな味なんですか? 苦味とか酸味とか」

『メニューの1ページ前に書いてあるので見てくださいね。』

穏やかにそう言われた。単純に不注意。

 

 

さんざん悩んだが、結局アメリカンクラブハウスサンドウィッチと、ブレンドコーヒーを頼んだ。

 

 

こういったクラシカルなお店で悩みに悩んでメニューを決めるのだが、

大抵後悔する。

お店に入る前からすでに「クラシカルなお店のサンドウィッチ」の口になっていたので、

注文した後に名前からして生トマトが入っているだろうことに気づいた。

先んじた後悔。今年の判断史上最速。

俺の生トマトを好き好んで食べられるパラメータを他の人に割り振っているので、

俺以外が好き好んであーだこーだと食べててほしいのとこんなに美味しいのに〜とか言ってくれるな食べ物30年連続No.1なのだけれども、

頼んだ以上は仕方がない。皿に乗ってきたパセリまでも食べる次第である。パセリはうまい。

 

 

星野道夫の「旅をする木」を読みながら頼んだものが来るまで待つ。

アラスカに住んでいた著者が、そのほかの広大な自然の中で先住民の人々やアラスカに来た人との関わりを静かな言葉で綴った本で、

最初は退屈にも感じていたのだけれど、

途中から、出てくるアラスカの地名を調べて画像や地図を見ながら読んでいたらそこに行った気になれるような気がしてものすごく心がアラスカになった。語彙力。

在宅勤務でうだうだして一日158歩しか歩いてないとかiPhoneに記録付けられているこんな日々の裏側では、

ただただ氷山に風が吹きすさび、生命の呼吸すら感じられない1日があるのだというだけで、

なんだか、色んなことを広い心で受け止められるような、懐が深くなったような気持ちでいられる。

あと俺の席だけ水が来ない。なんで?

 

 

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アメリカンクラブハウスサンドウィッチ

 

 

 

ルミエールブレンドは、その場でポットから注いでくれます。
やや酸味の強いコーヒーでしたが、爽やかな飲み口のブレンドでさすがコーヒー専門店という感じでした。

 

 

 

 

あ、語彙力ないので食べログからコーヒーの味を評価しているコメントコピペしました。そんな感じです。コーヒーはもちろんおいしかったよ。

サンドウィッチとコーヒーを交互に楽しんで、

どこのタイミングで食べればいいか分からないピクルスをオリーブがぶっ刺さってたプラスチックの剣でずくずくと刺し、

穴だらけにした挙句全然取れずに結局指で取って食べたりしてました。



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職業柄、樹脂と触れ合うことが多いので、

こういう剣を見るとですねえ、どこから樹脂を流し込んで成形しているのか気になるんすよねえ

成形品ができるまで|日精樹脂工業株式会社

参考リンク貼ったものの誰も見ないだろうけど、まあドロドロに溶かした樹脂をギューッと押し出して冷やして固めるんです。

早く溶かして固められるから樹脂がここまで世に広まった理由の1つとかばあちゃんが言ってた。ばあちゃんすごいな。

この剣もやっぱり持ち手の先端のところがイガイガしてるので樹脂を入れている口で、剣側に樹脂を流しているんだろうなあと空想します。そして側面を見ると金型の合わせ目が見られるので、剣の側面のところにやっぱり合わせているんだなあと思います。かといって、触っても痛くはないようになっていて、そこがやはり口に触れる可能性がある成形品ですよね、やっぱり当然のように考えられているよなあと。サーベルをサーベルたらしめるあの半月状の形状も樹脂の流れをストレートに考えるんだったら当然やらないだろうけれど、やはりそこは美観。あるべき姿で金型も設計されているんだろうなあと思いをはせるのです。

と、これだけじっくり手に取ったりして剣だけ見てると不審な目で見られる気がする。

コーヒーよりよっぽど楽しんでんじゃねえのこいつとお爺さんに思われそう。

人の目は気になるのです。人並みに。剣だけの写真撮っている時点でもっと気にしろよと言われそう。誰に。

 

 

 

 

 

STAY I です。人はそんな変わらん。